重粒子線治療の体験談2回「癌サバイバーの話」

B!

重粒子線治療体験(2回)

私は上顎洞癌という顔に癌ができる病気になりました。
重粒子線治療は当時あまりメジャーではなく、その効果や治療内容に不安がありました。
今後の治療を考えている人や不安な人にとって役に立てればと思います。

重粒子線治療の体験談

・重粒子線治療とは
・重粒子線治療ができる癌はどの種類
・重粒子線治療の内容
・重粒子線治療の副作用
・重粒子線治療の感想

 

重粒子線治療とは

放射線で使用されるX線は照射の際に目標物のがんを通り過ぎて反対側に通り抜けます。
重粒子線は中まで入り込み、止まります。
止まるときに一番多くエネルギーを落とし、がんの深さでビームが止まるようにする事で、がんに集中して照射が行えます。
がんより浅いところや深いところに正常臓器があっても、避けることができるようです。
放射線のように、いろいろな方向からビームを照射する必要がないため、正常臓器のへのダメージ範囲がX線に比べて少ないのも粒子線の強みです
簡単にいうと、放射線よりも強いビームをがんに集中して照射する事ができる治療です。

重粒子線治療ができる癌はどの種類

保険診療として治療されているものは以下のものがあります。
骨・軟部肉腫(手術が困難なもの)
頭頸部がん(鼻・副鼻腔・唾液腺等)
頭頸部がん(涙腺がん)
前立腺がん
その他にも先進医療としての治療や臨床試験としての治療が行われている部位や種類の癌もあるようですが、日進月歩で変化しているので
ここには記載しません。
私の場合は頭頸部がんだったので、保険診療になりました。
しかし、保険診療になったのはここ最近の事です。
私が1回目(1クール)の重粒子線治療をうけた時は保険対象外えであったため、300万近く費用がかかりました。

重粒子線治療の内容

治療内容は部位や癌によって異なります。
私の場合は上顎洞癌という顔の癌であったため、マウスピースを作った事と、顔が動かないように肩から上の固定具を作成しました。
基本的にはみなさん、固定具のようなものを作成するようです。
前立腺癌の人は、排泄・排尿してから治療を受けるのがルールのようでした。
重粒子線治療は癌の種類によって照射回数が異なります。
1クールで最大16回の照射を行ます。
1日1回で照射時間は15分から20分ぐらいだと思います。
痛くもかゆくもありませんでしたが、顔の癌という事で、治療中は口から呼吸してはいけなかったりと多少は大変な場合もありました。

重粒子線治療の副作用

治療する部位によって異なると思いますが、私の場合は目の下にある癌に対して照射した事もあり、眼自体にも重粒子線を照射の範囲が及んでいました。
この影響で、治療2年後ぐらいに照射したほうの目が見えなくなりました。
目は開いていますが、緑内障みたいな感じの目の色になっていて、真っ暗な状態です。
嗅覚もなくなり、味がわからなくなってしまいました。

重粒子線治療の感想

私は合計2回(2クール)の重粒子線治療をしています。
2回目の治療をする時は、おすすめしないと言われました。
正常細胞へのダメージも強くなり、何が起きてもおかしくないと言われました。
つまり、癌の影響ではなく治療の影響で死んでしまう可能性もあるという事です。
特に私の癌は脳に近いところにあり、脳へのダメージも心配されていました。
しかし、治療しなかったら余命6ヶ月もつかどうかわからないと言われました。
何もしないで死を待つ訳にはいかないので2回目の治療を行いました。
私の場合は、1回目も2回目も重粒子線治療しか望みがありませんでした。
癌が頭蓋骨にまで浸透していて手術はできない、放射線と抗癌剤も効果がない事がわかっている状況でした。
結果として、癌を小さくする事はできませんでした。
なくす事もできませんでした。
しかし、大きくもなりませんでした。
一応は成功したと考えられました。
それでも2回目をする時は、癌が大きくなってしまっていたのでした。
ステージ4Bという診断でした。
ステージ4Bは簡単にいうと治る見込みが極めて引いという事です。
幸いにも転移はありませんでした。
結論としてはやって良かったと思っています。
失ったもの(視覚・嗅覚)は大きいけれど、死ぬよりはましです。
1回目の治療では入院しました。
他にも重粒子線治療を受けている患者さんがいました。
なぜ重粒子線治療にしたのかを聞いたところ、体への負担が小さいからと言っていました。
手術による治療もできるが、やはり切開するのは体への負担が大きいから避けているようでした。
恒例の人にはそれがいいのだと思います。
2回目の治療の場合は通院で実施する事にさせてもらいました。
家から片道2時間位で通えるので、入院する必要はないと思いました。
仕事もあったし、やりたい事もあったので、出来る限り自分で使える時間を多く取りたかったからです。

最後に

重粒子線治療をするかしないかは個人の判断になります。
医師の話を聞いて、家族と相談して決めてください。

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